「小手先のソリューション改革の愚」

marketing 】 2007 / 09 / 21
衰弱堂の栞をはじめて、ある程度決まったニュースソースをチェックするようになったのだが、日経BP社のNBonlineの記事の濃さは目を瞠るものがある。同じ日経BPでもITProあたりはリリースの垂れ流しや駄記事が多いのだが、NBonlineは執筆者や題材、記事のスコープなど全体的にレベルが高い。明らかに編集能力の差を感じるわけで。

で、はてなブックマークではほとんどコメントがついていないのですが、「宮田秀明の『経営の設計学』」という連載の9/7の記事「年金問題が象徴する日本社会の大いなる課題」はぼくにとって非常に示唆に富む一編だった。

 例えば、年金の徴収業務を民間へ、強制徴収の業務を国税庁に委託しようとしているらしい。しかし、社会保険という公共サービスのビジネスモデル自体が破綻寸前というのに、根本的な問題には手を加えないで、徴収という、一番末端の「ソリューション」を変えれば、なんとか生き返るという考え方に賛同する人はいないだろう。

 こうした小手先のソリューション改革でお茶を濁すという考え方は、ここにきてたまたま年金問題が象徴しただけで、以前から日本社会に巣食う大きな課題である。

 ここで言う「ソリューション」とは、与えられたビジネスやサービスのモデルを実行するためのやり方(実行手段)のことだ。ソリューションの上位にある概念は「モデル」である。企業経営におけるビジネスモデルは、このモデルの1種だ。工学的にはシステムや方程式と言い換えてもいい。与えられた方程式(モデル)の解を求める方法がソリューションだ。
と、タイトルには年金問題が頭にくるために興味のない向きには見逃されてしまうのかもしれないが、 引用部の第2段落もしくは副題の「小手先のソリューション改革の愚」が示すように、宮田氏は、まずソリューションに目が向いてしまう日本社会に散見される現象を明治以降連綿と続く日本の課題として批判的に捉えつつ、<コンセプト−モデル−ソリューション>の3つのレベルのうち、上位2つを強化しないかぎり競争力強化に結びつかないし、社員も国民も疲弊するばかり、と指摘している。

本文中にはいくつか具体的な事例も挙げられているがケースの掘り下げが浅く、いわんとするところが非常に抽象的で受け入れられにくいのかもしれない。しかし、極めて重要な指摘なのでマネジメントに関わる人は読むべき。いわゆるソリューションプロバイダを名乗る業種のみなさまにも目を通していただきたい。ソリューションだけを切り離して取り扱うビジネスがいかに多くのデスマーチを生み出していることやら。上のレイヤーに関わらずに生きていくのはベンダーもクライアントもお互い不幸な状況。かといって、戦略コンサルティングはソリューションへのつなぎの部分が見えていないために結果を出せないケースも多いように感じる。

個人的に5分でだいたいわかるプロジェクトマネジメント5分でだいたいわかるビジネスマネジメント(イケメン農家編)で示した<ビジョン−シナリオ−プロジェクト>というフレームとほぼ共通するなというところもあり、共感しているのかもしれないが。上記エントリをお読みでない方はこの機会に目を通していただければ幸甚。


タグ:business thinking





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