ThinkPad X1 Carbonは、欲しい。しかし。

item 】 2012 / 09 / 11

 最近ThinkPadについてまったく書いていなかったので一度まとめておく。実はあれこれ増えている。

 3.11の震災時に机上のタンブラーに注がれていたアイスコーヒーを思いっきりかぶって沈黙したThinkPad T42は、ヤフオクで下半身(ディスプレイなしのパーツ)を購入して水没した本体を発送、取り付けを行なってもらい復活したものの、悲しいことにHDDも死亡していた。どうせ一から環境構築するならと、思い切って CFDのIDE接続64GBSSD(CSSD-PMM64WJ2)に換装してみたところ、少しばかり快適になった。

 ところが去年の暮れに何を思ったかThinkPad R61(8930-9QJ)をヤフオクで落としてしまった。15000円ほど。旧機ThinkPad T42が15インチ4:3液晶で1400×1050ドットだったのに対して、R61は15.4インチ16:9液晶で1680×1050ドットと若干広く高精細。液晶のサイズ的にThinkPadの現行機種もこれが最大のはずなのでもう次を買うべき言い訳は随分と乏しくなってしまった。

 一方、モバイル機だ。これがなかなか我ながらどうかしていると思うのだが、Let's NoteのCF-R3Dをヤフオクで購入していながら、CF-T5Kを購入して主にこれを使っていた。CoreSolo搭載機で1.26kg、カタログスペック15時間のバッテリ駆動は歴代のLet's Noteでもいまだに最長かもしれない。しかし、ThinkPadじゃない。いやだからどうなんだといわれても自分にもよくわからない。しかし、モバイルでもThinkPadが欲しいのだ。これはもう理屈じゃない。

 で、去年の5月にThinkPad X60sの訳あり中古を格安で見つけた。9000円。調べるとわかるのだが、X60sはバッテリに問題が出て自主回収の対象になった経緯がある。訳ありはたぶんこれだろうと踏んで買ってみたら正解だったようでまったく問題がない。バッテリは大容量の8セルの社外品を購入し、使えるようにした。

 しかしこれ、重い。通常の4セルでも1.39kgなのでたぶん1.5kgくらいはある。そう、ThinkPadのモバイル機はLet's Noteに比べると、重い。重量に関しては強度とのトレードオフになっているのだ。そして、バッテリ駆動時間が短い。標準4セルのカタログスペックは4.5時間。8セルで倍になってもやはりCF-T5Kには及ばない。結局画面サイズも解像度も変わらず、バッテリ駆動時間が長く軽いCF-T5Kを使い続けていた。

 それにしても、もう少し軽くて、もうちょい長く使えるThinkPad Xシリーズはないのかと調べてみると、ThinkPad X201sが12.1インチWXGA+(1440×900)液晶で標準4セル1.17kgとそこそこ軽い。9セルで1,39kg、バッテリ駆動時間が13.6時間とあり、これならばCF-T5Kから乗り換える理由はある。

 ところがだ。ThinkPad X201sは後継機が出ていないために中古の数が少なくヤフオクでも高い。安くても7万円超、10万円に近く現行機種とあまり差がない。これはどうにかならないものかとあれこれ考えてみたが、まあどうにもならない。さらに調べていてはたと気づいた。X201sの1世代前、X200sである。この機種はちょっと特殊な2ライン構成で、WXGA(1200×800)液晶のモデルが1.32kgに対してWXGA+液晶を搭載したモデルはX201sとほぼ同等の1.19kgなのだ。

 ということでX200sのWXGA+モデルに対象を絞って、じっと安いものが出てくるのを待っていたところ、指紋認証デバイス付きで即決5万円というのを見つけついに購入。ヤフオク落札金額生涯最高値。

 もはや欲しいものはない。

 それを知ったのは
 ぼくのThinkPadが積み重なり
 そして

 あれ、

 あれに出会って
 からだった。

 ThinkPad X1 Carbon……。

Ultrabookに対する、ThinkPadの回答

 LenovoがThinkPadシリーズでUltrabookを投入するらしい話は以前から見かけていて気になっていたのだが、ThinkPad X1 Carbonは個人的にはやや意外なパッケージだった。

 何より、Xシリーズに位置づけながら14インチ液晶を搭載してきたことだ。この液晶サイズで薄型のモデルには代々Tシリーズの型番が与えられている。先行モデルのThinkPad X1は13.3インチ1366×768ドット液晶で1.69kgと液晶のサイズこそやや大きいもののX201sよりも解像度で劣り、モバイル機としては重すぎる中途半端な製品だった。このあたりをスペックシートから比較してみよう。

  • ThinkPad X201s:12.1インチ1440×900ドット、W295×D210×H20.7-28.7、1.17kg、\207,900-
  • ThinkPad X1:13.3インチ1366×768ドット、W337×D231×H16.5-21.3、1.69kg、\189,000
  • ThinkPad T420s:14インチ1600×900ドット、W343×D231×H21.2-26.0、1.8kg、\197,400

 フットプリントはX1とT420sでほぼ同等、X201sがコンパクト。重量はX201sが圧倒的に軽く、X1はT420sより軽量だが液晶のスペックに対してこの価格差ならばX1を選択すべき積極的な理由がぼくには見出しにくい。そして件のX1 Carbonはこうだ。

  • ThinkPad X1 Carbon:14インチ1600×900ドット、W331×D226×H8-18.8、1.36kg、\181,650

 13.3インチ液晶を搭載したX1よりも小さくかつ圧倒的に薄いボディに14インチのHD液晶を載せ、大幅に軽量化して価格を下げてきた。久しぶりに、ThinkPadの本気を見た気がする。その名の通り天板やロールケージにカーボン素材を使用し、マグネシウム合金製のベースカバーと合わせてThinkPadの耐衝撃性を確保。30分で80%充電を行うラピッドチャージ機能など電力消費に関する面も手が入っているようだ。この重量で、この液晶サイズでTrackPointキーボードが使える。机の上に置いている環境をそのまま外に持ち出せるのは魅力的。そしてレノボの直販サイトのエントリーパッケージはE-クーポン適用で\107,919と他社のUltrabookとほぼ同価格帯になっている。これはよいものだとキシリア様に伝えたくなるではないか。


Ultrabookであるがゆえの制約?

 しかし、Ultrabook、というパッケージにこだわりすぎたがためか、ThinkPadらしさを失ってしまった面もある。そこがいささか気にならなくもない。

 まずX1 Carbonにはじまったことではないが、6段アイソレーションキーボードを採用したこと。筺体の薄さもあり、果たしてThinkPadらしい打鍵感が確保されているのかは非常に気になるところ。伝統の7段配列ではないことはまだ我慢できそうなのだが、いまこのテキストを叩き出しているこの打鍵感を失ってしまえば、それはもうぼくにとってThinkPadではない。これはやはり、どこかの店頭で試してみたいところだが、どこかデモ機を置いているショップはあるのだろうか……。

 もう一つ気になるのは、ThinkPadならではのメンテナンス性の高さが、おそらくはUltrabookというパッケージによってスポイルされてしまったこと。極小化されたSSDが換装できないのはまだしも、メモリの交換・増設はおろか、4セルバッテリ(7.7時間駆動)すら取り外し不能とは……。パーツの入手が容易で、壊れても自力で修理して安く使い続けることができることは、割と貧しいぼくがThinkPadを使い続けることを支えていたように思う。それこそ液晶さえ生きていれば、ジャンクでもなんとかできるしぶとさがThinkPadの価値の一つなのだが。

 一つの考え方として、Ultrabookのサイズにこだわらず、12.1インチでそれなりの厚さが出ても、さらに軽くさらに長時間駆動可能なバッテリーを搭載する方向、ThinkPad X230 Carbonのようなパッケージングの方が個人的には受け入れられる。モバイル機としてThinkPadを視野に入れる際に常に問題だったのは、例えばLet's Noteよりも重い上に駆動時間が短い、という持ち運んで活用するノートPCの本質的な部分にあった。ThinkPadの一つの進化の方向性として、ここに対する解答をこそ打ち出して欲しかったという思いはある。

 ただ、そんな製品、Ultrabookでもなく薄くもなくLet's Noteを比較対象にするようなユーザ向けのThinkPadを望んでいる人がどれだけいるのだといわれれば、市場性からも開発コストの面からも難しいと思わざるをえない。とはいえ、Tシリーズを気軽に持ち歩きたい、というイメージもどこかあったわけで、X1 Carbonはやはり、これはこれでありだろう。


ThinkPadではない、ThinkPadとして

 正直に言えば、ThinkPad X1 Carbonは、もはやThinkPadではないのかもしれない。このシリーズは定番化せず、この1機種でディスコンになるような気もする。ある意味貴重なモデルになるのかもしれない。そもそも、ThinkPadをメーカ修理に出す、というイメージがまったくないぼくや、その他大勢のユーザにとって、X1 Carbonは使い捨てられる、使い捨てざるを得ない機種になりそうだ。10万円のPCに、例えば3万円のメーカ修理をかけるというのは、いざ直面した場合相当悩ましいだろう。

 そうしたさまざまな事柄をひっくるめてなお、いまノートPCを買うなら? と聞かれれば、ぼくの第一選択肢はこのThinkPad X1 Carbonだ。買うのならエントリーパッケージではなくメモリ8GBモデル。素直に、これは、欲しい。

 しかし、お金がない。笑い。






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