失われた時(Euro2004 Group D:Neitherlands - Czech Republic)

sports 】 2004 / 06 / 20
1998年のフランスW杯、若さゆえに今ひとつ見せ場をつくれない中田英寿と得点への意志を見て取ることのできない貧弱なゲームプランで絵に描いたような無力な敗戦を量産して敗れ去った日本よりも、ぼくはオランダのサッカーに夢中だった。当時の掲示板の書き込みを読み返してみると、最終ラインの大胆な押し上げ、中盤でのすばやいパスワークからフリースペースを作り出すクリエイティビティ、ペナルティエリア内で繰り出される死角へのフリーパス、といった言葉を並べている。

オランダの試合がもっと見たかった。しかし、2002年日韓W杯出場国に、オランダの名前はなかった。ぼくの2002年W杯は、ある意味で本番を迎える前にすでに半分ほど終わっていたわけだ。そしてEuro2004に、ひさしぶりにオランダの名前を見つけた。ダービッツ、クライファート、あの頃の名前がまだ残っている。オーフェルマルスもだ!

初戦のドイツ戦は地上波中継なし。むう。引き分けたその試合について、スポーツナビにコラムが載った。「内容でドイツに完敗したオランダ」だ。
「オランダの『個』、ドイツの『組織』――これが完全に逆さまになったのではないか!?」
 試合後、あるジャーナリストがこう語った。しかし僕の意見は違う。『個』も『組織』もドイツの勝ち。オランダはともにドイツに及ばなかった。

オランダは、どうなってしまったのだろうか。それを確かめるかのように見始めた。

開始早々の4分、フリーキックからDFバウマが頭であわせて先制。さらに19分にはすばやい連携からファン・ニステルローイがフリーでシュートして2点目。最高のスタートだ。しかし、得点とは裏腹に、オランダは苦しげだった。

ゴールキックからのルーズボールの競り合いではことごとく負け、ボール支配率は僅差ながらチェコがゲームを支配、しばしばサイドからの突破で攻めの形を作る。バロンドールホルダーのネドベドが随所に心憎い動き。一方オランダはといえば、単調なフィードを繰り返し、ファン・ニステルローイがしばしばDFを背負ってのシュートを試みるも、見せ場というにはいささか寂しい光景。ダービッツは、6年のときを経てもなお精力的に動き回るが、機能していない。チェコに数的優位を作られ、1対1でも勝てず、ファウルでなんとか止める中、2点目の直後に中盤で目を覆いたくなるパスミスから中央を一気に突破され1点を失う。

ファン・ニステルローイはすごかったさ。でも、そもそもオランダには相手DFを背負ってのシュートなんて、期待していなかったんだ。パズルを解くように、相手ゴールを割るあのオランダが見たかったんだ。

ファン・デル・サールがファインセーブでしのぐ中、71分、すばらしい連携からバロシュが同点ゴール。75分、2枚目のイエローカードでハイティンファが退場しチェコにさらに追い風。終了間際にスミチェルが決定的な3点目を流し込み、チェコがDリーグ勝ち抜けを決めた。

1998年の、奇跡のように美しかったオランダはもうそこにはなかった。サッカーとは、ゴールシーンを見るゲームではなく、そこにいたるまでのすべての動きが見るに値するのだということをぼくに教えてくれたオランダは時の流れの中で失われてしまったのだろうか。

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