Webアナリストが注目すべきiPhone Developer Programの改訂

marketing 】 2010 / 04 / 12
 4/9にAppleが「iPhone OS 4」を発表(INTERNET Watch)して、マルチタスクとかアプリ内広告配信プラットフォームのiADとかが話題になっているわけですが、個人的には「Bluetoothキーボードへの対応」というすごく地味なところがヒットしてしまった何かだめな感じが漂うニセiPhone(docomo T-01A+iFonz1.1.2)ユーザがお届けしておりますこの雑記。(iPhone OS 4のプレビューイベント全体についてはギズモード・ジャパン「iPhone OS 4.0プレビューイベントの記事まとめ(再掲載)」から見るのがよさそう。)

 iPhoneの話はニセの話くらいしか書いておらず、正直あまり個人的に興味もなかったりするのですが、ちょっとこの話は触れておいた方がいいのかな、と。



(Twitterに転送してるはてブのコメント微妙に間違ってるな)

 iPhone OS 4の発表に合わせて、iPhone Developer Program License Agreementが改訂され、Future Insightさんが「AppleのFlash締め出し事件雑感」で取り上げられているアプリの開発環境に関する問題が結構話題に上がっているようなんですが、ブックマークしたErick Kerrのblog"New iPhone Developer Agreement Bans the Use of Third-Party Analytics and Services"の方がWebアナリスト的には気になる部分なのでは。
 ぼくはStéphane Hamel(@immeria)のツイート


経由でこの話を知ったんですが、あまりに話題になってないのでほんとうなのかと"iPhone Developer Program License Agreement"(以下、Agreement)の原文を読むためにiPhone Developer Programの登録を途中までやってみましたよ(年間$99なんですが、支払い前にこの規約確認画面が出る。よって、そこでキャンセル。せこい)。いまTopsyで検索してみたら海外ではそれなりに広がっているような。

 問題の概要はErick Kerrが引用しているAgreementの"3. Your Obligations(あなたの義務)"、"3.3 Program Requirements for Applications(アプリケーションのためのプログラムの要件)"の"User Interface, Data Collection, Local Laws and Privacy(ユーザ・インターフェース、データの収集、地域法、プライバシー)"の中の9項を読めばだいたいわかるんですが、以下適当な衰弱堂訳も。

3.3.9 The following requirements apply to You and Your Application's use, collection,
processing, maintenance, uploading, syncing, storage, transmission, sharing and disclosure of
User Data:

(3.3.9 以下の要件はあなたもしくはあなたのアプリケーションのユーザデータの使用、収集、処理、保持、アップロード、同期、蓄積、送信、共有、開示に適用される。)

- All use of User Data collected or obtained through an Application must be limited to the same purpose as necessary to provide services or functionality for such Application. For example, the use of User Data collected on and used in a social networking Application could be used for the same purpose on the website version of that Application;

(- アプリケーションを介して収集される、もしくは得られる全てのユーザデータの利用は、サービスの提供に必要であるか、アプリケーションの機能に必要であるかという目的に一致する場合のみに制限される。例えば、ソーシャルネットワーキングに関するアプリケーションが使用し収集されたユーザデータの使用はWebサイトバージョンのアプリケーションと同様の目的で用いられる場合のみ可能である。)

however, the use of location-based User Data for enabling targeted advertising in an Application is prohibited unless targeted advertising is the purpose of such Application (e.g., a geo-location coupon application).

どんな場合であれ、アプリケーション内でターゲット広告を可能にするためにロケーションベースのユーザデータの使用を禁じる。ただし、ターゲット広告がそうしたアプリケーションの目的(例えば地理的な位置情報に基づく地域限定クーポンアプリ)に当たる場合はこの限りではない)

 "iPhone Developer Program License Agreement Rev.4-8-10"
 ※太字はぼくによるもの

 額面どおりに読むとアプリのベータ版を頻繁にリリースして解析結果に基づいてアップデートしているというソーシャルアプリで最近注目されている開発プロセスのためのフィードバックデータの取得さえ禁じられているような。

【追記】さすがにそこまでいうのは言いすぎか。しかし、foursquareのような位置情報を活用したソーシャルアプリが独自のマネタイズプラットフォームを実装することはできないという話なのか。全部iADでやってくれということなのかな。

 深読みするとiAdプラットフォームの立ち上げに関連して、ユーザ行動に関するデータの取得元をプラットフォームに一元化しようとしているようにも思えます。カスタマー・ビヘイビアに関するデータをサードパーティアプリで取得し活用することに制限を加えている、とも読める。

 ちなみに改訂前の2010年3月9日付けのものと思しきAgreementのPDFファイルELECTRONIC FRONTIER FOUNDATIONというサイト(Agreement改訂に関する記事)にあり、当該項目は"User Interface and Data"に関する3.3.5〜3.3.6、"Local Laws, User Privacy, Location Services and Mapping"に関する3.3.7〜3.3.11でざっと見た感じでは上記の制限は過去には含まれていなかったようです。

 現時点でこれを読んでいても、個人的にはちょっとどういう影響を与えるのかが見え切れていません。ただ、エリック・ピーターソンが「WebAnalytics 3.0」という名前を付けて素描した(関連記事:「エリック・ピーターソン『WebAnalytics 2.0』」)、「端末のユニークIDによる特定や位置情報と結びついた特定をいかしたユニークな機会」であったり、「WebAnalytics 2.0」の「イベントベースでの計測」といったオーソドックスなアプローチに対する足かせになるのでは、という懸念は否めません。

 とりあえず大まかな情報はまとめたということで、あとは識者の方におまかせしたいところ。もう眠いし(だめだこりゃ)

2010/4/16 追記
 今回のAppleのAgreement改訂に関して、上にあげたエリック・ピーターソンが自らのblog

 "An Open Letter to Steve Jobs"(「スティーブ・ジョブズへの公開書簡」)

というエントリを4/13に公開した。

 エリック・ピーターソンは「Web解析Hacks」をはじめとするいくつかの重要な書籍とWeb Analytics Demystified社でのコンサルティング活動などを通じてWeb解析を主導してきたと同時に、ここのところ自身のTwitter上で繰り返しiPadへの熱狂を語ってきた人物。

 このエントリの中で、彼はやはりAgreementの3.3.9を問題にしており、上述のErick Kerrのエントリのほか、NY Timesの

 "Apple Places New Limits on App Developers"

という記事を挙げている。

 詳細はソースをあたってほしいのだけれども、重要そうな箇所だけ衰弱堂雑訳をつけておきます。

Unfortunately as a long-time member of the digital measurement industry I am in the uncomfortable position of having to ask you to reconsider what will undoubtedly be viewed by many Apple customers, developers, and end-users as an egregious mistake.

(あいにく長年にわたりデジタルの計測に関わる業界の一員であった身としては厄介な立場にいるのだが、私はあなたに求めざるを得ない。多くのAppleの取引先、開発者、エンドユーザがとんでもない過ちだとみなしていることについて再考すべきだ。)

I am talking about Section 3.3.9 in your updated iPhone Developer Agreement in which you apparently ban all third-party in-app measurement. While I respect Apple’s right to privacy, for those not familiar with Section 3.3.9 I would encourage you to read the following articles:

(私が言っているのは改訂されたiPhone Developer Agreementの3.3.9項のことだ。そこでは明らかに全てのサードパーティのアプリ内計測が禁じられている。私はアップルのプライバシーへの適切さに敬意を払うが、3.3.9項について詳しく知らないのであれば以下の記事を読んでほしい。)

 ・Apple Places New Limits on App Developers
 ・New iPhone Developer Agreement Bans the Use of Third-Party Analytics and Services

The summary statement is that your updated Developer Agreement, if my read is accurate, strips all of your Development partners of their ability to measure application usage with an eye towards improving the overall quality of their product.

(この声明を要約すると、あなたの開発者向け規約の改訂は、読み方が正しいとすれば、全ての開発パートナーから、製品の全面的なクオリティ改善を視野に入れた上でアプリケーションの利用状況の測定を行う能力を奪うものだ)

An Open Letter to Steve Jobs | Web Analytics Demystified

 ここでエリック・ピーターソンが俎上に上げているのはiPhone/iPadアプリ自体が利用状況を測定して、それに基づいて改善していくプロセス自体がbanされているとすれば大きな問題だ、ということ。

 さらに、前述のErick Kerrのエントリを見ると4/14に追記があり、Venturebeatの"Apple keeps ad networks, analytics companies in suspense"という記事を紹介している。モバイルアプリの計測ソリューションベンダーのFlurryがソースを明かさずに、ある開発者がAppleより以下のようなメールが届いた、とのこと。

> We've reviewed your
> application and determined that we cannot post this version of your iPhone
> application to the App Store. It is not appropriate for applications to
> gather user analytics. Specifically, you may not collect anonymous play
> data from a user's game. A screenshot of this issue has been attached for
> your reference.

(私たちはあなたのアプリをレビューした結果、このバージョンのiPhoneアプリをApp Storeに登録することはできないと判断した。アプリがユーザの統計情報を収集するのは不適切だ。特にユーザがゲームを遊ぶ際に匿名のプレイデータを集めるべきではない。参考に問題になるスクリーンショットを添付する。)

> In order for your application to be reconsidered for the App Store, please
> resolve this issue and upload your new binary to iTunes Connect.

(あなたのアプリをApp Store向けにするために再考してほしい。どうかこの問題を解決し新しいバイナリをiTunes Connectにアップロードしてほしい。)

 もはやぼくの手に余る問題なので、あとは識者の方におまかせしたいところ。もう眠いし(まだ9時だろ)。

2010/9/19 追記
 本エントリ公開後、ほとんど反応がなかったのですが、@masakiplusさんのブログ「ログマニアックス」の記事「iPhoneアプリでアクセス解析は認められるか?」で紹介され、この記事がa2iトピックスでさらに紹介された際に本記事へのリンクも合わせて貼られていた関係で地味にアクセスがあるのですが、上記ブログにコメントしたように、本記事執筆時点からAppleは数度に渡り規約改訂を行っており、すでに古い情報になっている部分があると思います。必要と興味のある方は常に最新のAgreementを参照されることをお奨めします。

 ログマニアックスでのぼくのコメントの再掲になりますがAppleは2010/6/7付けで再改訂を行いました。その際ユーザ情報の利用について、ユーザのプライバシー保護の徹底と情報収集についての事前告知などを条件にその利用を緩和する方向で変更されたように読めました。

「iPhoneアプリの広告規約変更、AdMobは締め出し」 - engadget日本語版
"Apple Makes Good on Steve Jobs’s Promise, Invites Other Advertisers. But What About Google's AdMob?" - MediaMemo by Peter Kafka

 ただ、この規約改訂がGoogleのAdMobの露骨な締め出しかという話になって米政府当局が動くという話に。

「FT:アップルのGoogle締め出し規約、規制当局が調査へ」 - engadget日本語版

 この2010/6/7版のiPhone Developer Program License Agreementについて 、ログマニアックスでは「Appleの規約を確認したよ」にて補足されています。

 ところが……2010/9/9付けでまたしても規約改訂が行われたんですね。えーっと、一番大きな変更点は……規約の名前がiOS Developer Program License Agreementに変わった?

 もうついていけません、ほんとに。というわけで、繰り返しになりますが必要と興味のある方は常に最新のAgreementを参照されることをお奨めします。

 一点だけ。最初に焦点になったAgreementの3.3.9項(「UI、データの収集、地域法とプライバシー」は3.3.7〜3.3.15までで、項目は6/7版とほぼ同一)ですが、依然として微妙な表現が残されています。

3.3.9 You and Your Applications may not collect user or device data without prior user consent,
and then only to provide a service or function that is directly relevant to the use of the Application,
or to serve advertising. You may not use analytics software in Your Application to collect and
send device data to a third party.

(3.3.9 あなたもしくはあなたのアプリケーションはユーザの事前の承諾なしにユーザもしくはデバイスのデータを収集することはできない。そしてそれはアプリケーションの利用ないしは広告の配信に直接関係する機能ないしはサービスの提供を目的とする場合に限られる。あなたはあなたのアプリケーション内でデバイスデータを収集し第三者に送信する解析ツールを使用することはできない。)





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