私的勉強会 解析しないと@神泉・ECナビ「AJITO」について書かないと!

marketing 】 2009 / 12 / 07
 金曜日の夜、「dIG iT」のあんけいさん(@ank)主催のWeb解析の勉強会、「私的勉強会 解析しないと」に行ってまいりました。会場は神泉の株式会社ECナビ内「AJITO」。

 最初に告知で見たときには、勉強会用にスペース作って何かのしゃれでAJITOととりあえず命名したのかと思っていたら、ほんとうにAJITOという名前のコミュニケーションスペースが社内にあるんですよ。それがまた、圧倒的なアジト感! というよりは何というか、衰弱堂のような者は絶対エントランスに立っている屈強なバウンサーに一睨みされてすごすごと帰る他ないお店感。

 昼間はミーティングや接客スペースとして、夜間は社員のコミュニケーションスペースとして使われているとか。バー風のインテリアですが、天井にはプロジェクターがついてます。しかし夜は社内バー。定時以降はアルコール含め飲み物タダ。この会社、すごい。Webアプリケーションエンジニアの募集をされているようなので、腕におぼえがあってくすぶってる人は行ってみるべき。単にこういう豪華なスペースを設けていることがすごいというだけの話ではなく、外部の勉強会にまで提供してしまうオープンマインドがすごい。たぶん社内には色々なチャンスが転がっている会社なんだろうと想像します。

 なんか最近渋谷に行くのはWeb解析関係のイベントばかりな気がするなあと思いつつ、玉川口から出てマークシティを抜ける途中でトイレに立ち寄ろうとしたら、そこでa2iの大内さん(@ouchicom)とばったり。Google Mapで見ていても道順がよくわかっていなかったぼくは「しめた」と思ったところが大内さんも行ったことがなかった模様。ありゃりゃ。途中、「Webプロジェクトマネジメント標準」ですっかりおなじみのロフトワークさんの看板など見つけたりしつつ、いい頃合に会場の巨大なビルへ到着。8階の受付で名刺を渡して、AJITO内へ潜入……すごいよこれ。

 とりあえず、メモを取りたいので左前方のテーブル席を確保。気づくとまわりには@ouchicomさん、@junk_oqloさん、@makitaniさん、とa2iの標準化分科会メンバーが固まっていたのが謎の団結。
 プロジェクターのスクリーン向かって左にはMacBook AirとLet's Noteの2台を前に置き、首謀者の@ankさんがスタンバイ中。マイクを手に各種案内。

ankwa01_1

 今回、@ankさんのほかにオムニチュアの同僚でテスト方面に詳しいコンサルタントの森田さん(@KyoheiPJ)もテストについて語ってくれる、と直前のサプライズ発表。そうこうするうちにはじまりました。


はじまりは、Twitter
 そもそもこの勉強会、9月の終わり頃にTwitter で
「11月後半ぐらいで個人勉強会でも開こうとふと思った。参加したい人っているかしら?」
@ankさんがつぶやいたのがことの始まり。その発言にリプライが付き、@ankさんがドラフトページを公開後、twtviteで出欠確認、ハッシュタグ”#ankwa01”が用意されて、twitter 経由で勉強会のテーマ募集が始まるなど、

「世界的ですもんね 乗るしかない このビックウエーブに」


みたいな雰囲気? 受付でtwitterアカウントを確認されたのも初めての経験でした。

 このあたりの経緯と当日の概要は「dIG iT」の報告エントリ、「私的勉強会 解析しないと!」@ankさんのTogetter(トゥギャッター) - まとめ「私的勉強会解析しないと」から、さらに個々の参加者へのリンクを追っていくと、もう少しビッグウエーヴ感がつかめるんじゃないかと。

What is KPI?
 さて、もうずいぶん書いたのですでに力尽きて崩れ落ちていくように見えてもまあ書くわけですが。ここからは当日の大きなトピックのくくりごとに自分のメモ中心でお送りします。当日のスライドは上記のあんけいさんのエントリ内からpdfファイルをダウンロードできますので、より詳細に知りたい向きはスライドを見つつ、かなり詳細にtsudaった上に真っ先に「『私的勉強会 解析しないと』に参加してきました。」というエントリをブログにアップされた@cremaさんのTwitterのタイムライン(19:38:59〜)を合わせて読んでみてください。

 @ankさんのサイトで公開されているpdfでは省略されていますが、まず最初に約束事の説明。

 ブログに書く。
 ブログがない人は@ankさんのアップ予定のブログエントリにコメントを書く。

というわけでいまこれを書いている、と。さらに@ankさんの自己紹介。某航空会社(大丈夫な方。笑い。)に7年半、システム構築や設計を経てWeb サイトの企画・マネジメント方面へ。現在オムニチュアのコンサルタントとして絶賛活躍中。オムニチュアのメールマガジンではDr. あんけいとしておなじみ。当然ながら今回の勉強会の内容はあんけいさんの個人的な見解であってオムニチュアの公式見解ではありません。そういえば誰もはてなブックマークに入れてないが、オムニチュアのサイトにはいつの間にか「OMNITURE 買収よくある質問と回答」というページが用意されていて、今回の買収でコーポレートブランド的には一旦「Omniture, An Adobe company」になったんですよね。

 そして、今回会場を提供いただいたECナビさまに感謝。
 重要なのでもう一回感謝。拍手。

 開始。もう1回拍手。笑い。

 ということでようやく内容の話。まず最初に取り上げられたのがKPI(Key Performance Indicator)。定点観測の指標を持つことによって変化に気づきやすくなる、という点からKPIを持つべき。KPIは大きく分けて
  • サイト内の変化や課題をつかむ
  • キャンペーンなどの施策の実行状況を確認する
の2つの観点で設定する。

 何がKPIか、というときに現状Web解析ツールが多くの指標を出してくれる中で
「KPIは指標であっても指標は必ずしもKPIではない。」
── Dennis R. Mortensen
("a KPI is a Metric but a Metric is not necessarily a KPI!")
という点には特に注意すべき。Dennis R. Mortensen、ぼくは知らなかったのですがYahoo!に買収されたIndexTools社のCOOでVisual Revenueというblogをやっているアナリストの方ですね。blogはLivedoor Readerに登録されてましたとさ。

 では実際にどのようにKPIを設定すればよいか。それにはまずゴールを明確にして、ゴールからブレイクダウンしていくこと。その際にビジネスゴールとKPIの間にKBR(主要ビジネス要件:Key Business Requirement)を設定しよう、というのがどうやらオムニチュア流のアプローチである様子。なんか@ankさん、@KyoheiPJさんのLet's NoteにKBRとかいうでかいステッカー貼ってあって、

ankwa01_2

カーマニアか何かなのかなあ、と思っていたら全然違いました。苦笑。

 上の写真のように近づいて見ると、オムニチュアのロゴと"Key Business Requirements"のフレーズがプリントされています。ぼくを含め、会場のほとんどの人はこのKBRは初耳という感じで、「@ankさんのオリジナル用語ですか?」という質問も出たほど。確かに"Key Business Requirement"で検索してもほとんどそれらしいページがヒットしません。どうやらMicrosoftあたりがBIソリューションについてプレゼンするときにこの言葉を用いている様子。

 そしてこのKBRの話が出たあたりで、難読苗字をGoogle日本語入力で一発変換させることで業界にその名を轟かせた@kansai_takakoさんによるUSTREAMでのライブ中継が始まり、会場に参加できなかった人もつぶやきはじめたことでハッシュタグ"#ankwa01"がバズった模様。

  KBRはビジネスゴールを達成するための要素を分解したもので、KBRをさらにいくつかのKBRに分解していき、そこに直結する指標をKPIとして採る、として説明されました。事例として「コマースサイトの売上」という<ビジネスゴール>に対して、「CV向上」、「LTV増加」の2つのKBRに分解し、さらにブレイクダウンした上で訪問者数や離脱率といったKPIを見出す、といった流れ。図解はプレゼン資料の15ページ。

 ここで最初のクエスチョンタイム。3つの異なるサイトについてそれぞれのKBRを3つ考えよう、というもの。参加者は無言でTwitter上で回答してみるという不思議な空間出現。笑い。ぼくはT-01Aのタッチパネルじゃとてもまともに打てず(しかも前日リストアをかけてBluetoothキーボードの設定が消えていたためキーボードも使えず)、持っていったメモ帳を眺めつつ少し考えてみる感じ。ここで個人的に大事だと思うのは「とりあえず3つ出してみる」というところ。当然、MECEで。プランナーがよく使う思考法。

 今回設問に取り上げられた事例は、事前リクエストを盛り込んだ「広告バナー収入がメインのメディアサイト」、「FAQ中心のカスタマーサポートサイト」、「いわゆるひとつのSNSサイト」の3つ。この中では特にFAQサイトについての解説が示唆に富むもので、既存のコールセンターのコール数等のオフラインとの比較、ないしはオンライン/オフラインを含めた全体での問合せ利用者数のようなネット利用率の把握や、サイト内検索でヒット数が0になる「ゼロ検索数」を減らすこと、といった観点はある程度突っ込んでWeb解析をやっていないと出てこないところ。

 個人的にこのKBRは上下のレイヤーの中に置くと包含する領域が大きすぎるため、聞きかじりで使うには扱いにくい気がします。スライドを見てわかりにくい場合は、バランス・スコアカードで使われる戦略マップのようなフレームワークで、ビジネスゴールのような大きなものをどのようにブレイクダウンしていくかを参照してみるのがいいかと思います。

 このKPIを扱った部分で印象深かったのは今回の会場提供にあたっての影の立役者の一人、@ucchieさんの
KPIだけ追ってると施策がむりやりになるんだよな。 #ankwa01
というつぶやき。これはまったく同感で、ただ@ankさんもそれゆえにKBRという概念で、ビジネスゴールに対して整合性のある施策が取れているかどうかを映し出す限られた指標であるKPIを、多くの指標の中からいかに取り出すか、というアプローチをしているのだと思います。

 あるいはもう一つ考えておくべきなのは、多くのWebサイトにおいてはビジネスゴールが必ずしも1つに絞れない、ということ。それゆえに複数のビジネスゴールが異なるKBR、異なるKPIを必要とし、実施策においてそれらが混在することで組み立てがわかりにくくなるようなケース。一般的なコーポレートサイトはコーポレートブランドの価値向上、IR、優秀な人材の確保、製品ブランドの認知度向上、リードの獲得のようなばらばらなビジネスゴールを一つの Webサイトの中に押し込んでいるものが多く、異なる部署で異なるビジネスゴールを持って、さらに厄介な場合には異なるWeb制作会社がアサインされる中で、どう一つのメディアをコントロールしていくか、というジレンマを抱えているところはきっと多いはず。

 やはり、ビジネスゴール、というタームが結構な曲者で、おそらくバランス・スコアカードの戦略マップでいうと、
  • 財務の視点
  • 顧客の視点
  • 内部プロセスの視点
  • 学習と成長の視点
の4つのレイヤーの一番上にある財務の視点でいう「株主価値の増大」だとか「企業価値の増大」だとか「利益の確保」などといったものがそれにあたると思うんです。が、一般的には財務の視点の中でさらに「売上の拡大」と「コストの削減」のようなブレイクダウンを行い、さらに「売上の拡大」を「新市場の創出」と「既存市場のシェア拡大」のようなブレイクダウンを行っていくわけです。

 ところがこのあたりのビジネスマネジメント的な領域は往々にして、プロジェクトマネジメントにおいては前提条件の一つである「有期性」が弱いがゆえに、Webサイトの持っているスピード感とのギャップが生じやすいところです。

 基本、大きなゴールからブレイクダウンするのは正しくて、わかりにくいのは中間成果の時間軸にずれがあること。これを適切に把握するための視点がたぶん必要なんだろうと思います。例えば、ECサイトのゴールが売上だとすれば、短期的には日別や月別の売上が重要ですが、より長いスパンで見た場合には@ankさんがさりげなく語った「マイクロコンバージョン」(メール登録や資料請求のような、収益に直結するわけではない間接的なコンバージョン)だったり、なにげなくKBRの例に置いていた「LTV増加」という言葉が別の視点からやはり重要性を持つわけです。

 つまり「購入」というのは短い時間軸でゴールに到達するプロセスで、「メール登録」というのはもっと長い時間軸で見たときにゴールに到達する(かもしれない)プロセス。この2つのプロセスに関わる施策は組み立て方がまったく異なるわけで、それぞれに関わる指標をKPIとしてひとくくりに扱うとかえってわかりにくくなる場合があると考えるべきかもしれません。

 このあたりの話は古くて恐縮ですが、「5分でだいたいわかるプロジェクトマネジメント」あたりも読んでいただければと。

サイトの課題は何か?
 続いてのテーマはサイトの課題の見つけ方。ここでもやはりブレイクダウンストラクチャです。まずWebサイトを大きく
  • 「流入」
  • 「内部」
の 2つに分解して見ていくことで、ポイントを絞り込んでいくイメージ。「ただし、キャンペーンは別」という注意がありましたが、基本的に諸要素に分解して見たあとでもう一度サイト全体のイメージをつかみなおす、というのは一般的なWebサイト運営でもキャンペーンの運営でもあまり変わらない気もします。

 流入は主にWeb解析ツールでリファラーを元に「検索エンジン」、「サイト」、「リファラなし」の3つに分解し、さらにオーガニックかPPC経由か、広告出稿サイトか他サイトリンクかWebメールか、などに分解。もちろん緑のツールなら楽々です。最近の動向として他サイト経由についてソーシャルメディア別に分解するというのもあり。一般的にメールやRSSはWebアプリケーションの場合リファラー情報が付与されるがアプリケーション経由の場合はリファラーが取れない。この辺のテクニカルな部分はよい参考書がいくつもあるので各自目を通すべし。メール経由やRSS経由の場合にURLにパラメータを付与して識別する手法はすでにご存知の方も多いかと。

 ここで2回目のクエスチョンタイム。流入経路別に流入数、コンバージョン、CVRを一覧化したデータをもとに考えよう。プレゼン資料の24ページ。

 ぼくの場合、無意識にやっているのは一番大きな部分と一番小さな部分を見ることらしい、と気づいた。一番大きな部分はなぜ大きいのか、一番小さい部分はなぜ小さいのか。
 あとは金がかかっている部分とそうでない部分。PPCや広告出稿はダイレクトにコストが見え、金額を動かしやすい部分、メールは運用ベースでややコストが見える部分、オーガニックはSEO等Webサイトの立ち上げ時のイニシャルコストに依存するところが大きく、すぐにコストの追加や削除といった対応がしにくい部分、など。

 今回のケースでは流入数は多いがCVRの低いPPCと逆に流入数は少ないがCVRの高いメールの2つのポイントに着目し、具体的な改善施策を考えていく、というのがステップ。@ankさんはこれをわかりやすく「ギャップを見つける」と表現。さらにギャップを見つけたら、そこで何が起きているのかの仮説を立てて具体的なデータで検証し手を入れていく、というのが改善施策の展開部分。

 例えばPPCであればキーワード別にCVRを見た場合にさらにギャップがあるのではないか、ひとつのキーワードで複数のランディングページがあるならばCVRに違いが出ていないか、など。メール経由の CVRが高いのであれば流入数を増やす=メール登録数を増やせばCV数増加につながるかもしれない。では、メール登録に寄与しているコンテンツはどこにあるのか? こうしたプロセスをうまく作れるようになりたいという人は、ちょっと遠回りに思えますがバーバラ・ミント「新版 考える技術・書く技術」(ダイヤモンド社)に目を通してみるといいと思います。

 あ、その上でSiteCatalystを使えば鬼に金棒です。

 続いて流入後のサイトの内部の部分。ここでは大きくセクションに分けてとらえよう、というのが第一のモットー。個人的にはセクションではなくファンクション(機能)という言葉をぼくは使うかもしれません。Webサイト内のコンテンツはすべてユーザに求められる何らかの機能提供を行っていると考え、その機能ごとにWebサイトの諸要素をまとめた上で、個々の機能別に効果測定を行おう、というのが基本的な考え方。Webサイト>ページ>ブロック、のようなエレメントで見るのではなく、キャンペーン紹介、サイト内検索、商品詳細、購入ページ、のような大きな機能のかたまりでとらえ、機能間がどのようにつながっているかをまとめているのがプレゼン資料の30ページ。

 ここで3回目のクエスチョンタイム。各セクションごとの利用数、コンバージョン、CVRを一覧化したデータをもとに考えよう。プレゼン資料の32ページ。

 ここのポイントは2回目の「ギャップを見つける」に加えて「簡単にできるところと面倒なところを見分ける」じゃないかな、と。例えば内部検索経由のCVR が低い、というギャップを見つけたとしても、そこから具体的な施策を導き出して機能改善をする場合には開発コストや開発期間が必要になるため、すぐに成果に結びつけるのが難しい。ゆえに、まずは手っ取り早く簡単にできそうなTOPオファーの改善と特集への誘導に着目しよう、ということ。

キャンペーンの組み立て方
 @ankさんの担当部分の最後はキャンペーンの組み立て方。ここはいきなりクエスチョンタイム。これがなかなか面白い設定なのでそのまま引用。
Q4:2010年1月に実施予定のキャンペーンがある。下記が手元にある情報だが、この情報を使った場合、どのぐらいの予算にすれば良いだろうか?

 対象サイト:コマースサイト
 キャンペーンでの目標売上:100万円
 サイト平均単価:1000円
 サイト全体CVR:2%
 広告からのクリック単価:10円

  ※ キャンペーンサイト制作費は計算に入れない。
 Twitterで回答していた人はほぼ正解だったように思う。目標の100万円に対して1件当たり1000円なので1000件の購入が必要。購入者は全体の2%なので50000件の流入が必要。1件につき10円なので50万円。この計算について@ankさんは前職の上司の言葉として「緻密なドンブリ勘定」と表現。たぶんこれが今回の勉強会で最も印象に残ったフレーズ、MIPです。

 この問題に対して
「粗利50%ないと! #ankwa01」
とつぶやいた@uwabuさんに激しく同意。ぼくも暗算してみて、え? 利益出ないんじゃ……、と思いました。そもそもキャンペーン以前にこの会社、根本的に何か間違ってるんじゃ、というウルトラネガティブなツッコミをぼくなら平気で入れそうです。

 これに対して、さすが@ankさん。さらにCVRと客単価の2つの変数を動かしてシミュレーションを行っています。ここはさらっと出してますがすごく重要な作業だと思います。

 さらにキャンペーンの場合、一定期間での実施となるので、2週間の場合を例に日別の誘導数、CV数、CVRと累積CV数をウォッチして目標ラインに届いているかどうかチェックすることが重要、という説明。下回っている場合はすぐに手を打つ必要があるため。

3つの分析ケースのポイント
 最後に参加者から事前に質問が寄せられていた分析ケースについてざっくり説明。

 メディアサイトでの流入検索ワードの分析、というケースについては特に「ブランドワード」(そのメディアサイトのブランド名や商品サイトの場合は商品名など)での流入の割合に注目する、というのがみながうなづいていたところ。

 リニューアル時の分析については、リニューアルの目的を明確にした上で目的が達成されているかどうかに着目し、何をもって達成と見るかを指標化し分析を組み立てる、という説明以上に、そもそもリニューアルはリスクを伴うので難しい(これはWebアナリスト的にはたぶん毎回痛感するところで、リニューアル前後のクリックストリームに基づくデータ比較というのはWebサイトの構成が大きく変わった場合など結構面倒なのです)、むしろ細かな改善を積み上げていくのがよいという発言がかなり印象的。これに対して@ouchicomさんから「リニューアルの反対語としての細かな改善の積み上げは何と呼ぶべきか?」という質問があり、場内ではそのまま改善、サイト改善といった言葉が出たほか、@klovさんが
#ankwa01 某Bさんはチューニングとおっしゃってましたね。>リニューアルの反対
というつぶやきも。

 外部Webサービスを利用した場合の分析については貼付けURLからの流入との説明がありましたが、これは媒体別にURLにパラメータを付与するような処理だと思います。最近はRSSフィードのURLに"index.html?RSS"のような形で流入経路情報を取得しているメディアサイトは多いと思います。

 といった感じで、@ankさんのセッションはよどみなく終了し満場の拍手。気づけばECナビ内「AJITO」は目いっぱい人が入ってます。

テストしないと
 @ankさんに引き続き、今度はテストの鬼(見た目は超紳士)、@KyoheiPJさんによるWebサイト改善のためのテストアプローチについてのセッション。今テスティングはWebサイト運営の一つ上のステージとして大きく注目を集めており、非常に関心の高まっている領域。それだけに実にうれしいボーナストラックです。

  @KyoheiPJさんのプレゼン資料はとりあえず公開されていないので、手元のメモだけで書き進めていきますが、@cremaさんの「『私的勉強会 解析しないと』に参加してきました。」の方にスライドのポイントになる部分のデジカメ画像があるのでこれは必読。

 まず最初に「優れたコンテンツ/優れたクリエイティブとは?」という問いかけ。今まではデザイナー任せだったり、担当者のセンスで決められてしまうことが多かったわけですが、ここにテスティングを入れることで、「ユーザにとって優れたコンテンツ/ユーザにとって優れたクリエイティブ」という新たな知見が得られることを指摘。ユーザテストを通じて選ばれたコンテンツ/クリエイティブは成果として表れる、というところが大きなポイント。つまり、テスティングをするかしないかで、あなたのWebサイトの成果はポテンシャルを発揮できない可能性がありますよ、ということ。

 例としてトップイメージのスプリットランテスト(A/Bテスト)を挙げ、さらに単純にどちらがCVRが高いか、で見るだけでなく、セグメントごとにCVR の違いが出るケースがある、と説明。これ、MarkeZine Day 2009のディノ水嶋さんとぐるなびウェディング舘田さんのセッションでも見ました。微笑。そうです、オムニチュアのTest&Targetなら、セグメントごとにクリエイティブの出し分け、ターゲティングができるんです! ばーん!(なんとなく強調)

 ここからテスティングにまつわる3つのテーマの説明がはじまりました。
  • 何をテストするの?
  • テストの設計
  • 最近のトレンド
 まず子供の名前の命名をお手伝いするというアメリカのWebサイトにおいて、トップページのコンテンツブロックの出し分け差し替え、配置の変更などを行った4パターンでテスト事例を紹介。A〜D、最もCVRが高かったのはどのパターン? 

 ……はずしました。

 そして@KyoheiPJさんが力強く語っていたのはテスト結果予想は必ず外れる、と考えている人が多いという事実、そして実際にはずれる、という事実。だからこそ、テストをしなければならないと。

 続いてテストを通じて改善すべき箇所を選び出す上での3つのポイント、
  • ボトルネックに着目
  • ポテンシャルのある部分を伸ばす
  • 王道(多くの利用者が必ず通過する経路)を整備する
を紹介。

 ボトルネックはメモに詳細説明が書き取られていないので@KyoheiPJさんの説明と食い違っている可能性がありますが、Webサイト内で極端に離脱するページがあるとすればそこはボトルネック。テスティングによりこのボトルネックの解消を図れれば成果につながるはず。
 ポテンシャルを伸ばす、はCVRが高いにも関わらず閲覧数が少ないページにいかにして誘導するかといった課題に対してテスティングでより効果の高い誘導を図るなど。
 王道を整理するは、一番使われるページからまず改善すべき、ということ。そこが効果がいちばん出やすい場所だから。

 続いてテストを設計する上での5つの切り口の紹介。
  • クリエイティブ
  • チャネル(キャンペーンサイト/メルマガ/外部サイトなど)
  • オファー(ユーザーベネフィット)
  • タイミング(時間帯、時季など)
  • セグメント(年代、性別、購買履歴、リファラー、流入キーワードなど)
 これはおそらく、ダイレクト・マーケティングをかじったことのある人は馴染み深い切り口なのでは。一番重要なのはオファー。例えば「1億円あげるよ」といった極端なオファーであればどんなにクリエイティブが貧弱でもコンバージョンしますよね、と。ただし、オファーはそれ以外の4つの切り口によっても見え方が変わってくる点にも注意が必要。

 実際に「中古自動車」といった検索キーワードで上位にあった4サイトを例に、オファーの提示がうまい2サイトとダメな2サイトをそれぞれ紹介。

 オファーは自社もしくは自社製品・サービスの強みであり、
  • 10秒以内に理解できる
  • 他社よりもすぐれたオファーであることがすぐ理解できる
  • 1週間経ってもそのオファーを覚えている
ようなオファーを提示することができれば自社のWebサイトの強みを最大限に生かせるはず、と。

 思い出したのでついでに紹介しておくと、エリック・シュルツ「マーケティングゲーム」(東洋経済新報社)というあまり売れてなさそうな本があって、ぼくもまともに読み終えていないのだけれど、この本の最初の方に出てくる「戦略的コンセプトの ABC」というフレームワークはシンプルで非常にお役立ち。今手元にないんですが、
  • A:Audience(だれがそれを使う顧客なのか)
  • B:Benefit(それを使うことで得られるメリットは何か)
  • C:Compelling Reason Why(購入すべき納得できる理由は何か)
のABCだったかな。このどれかが欠けていても戦略的なビジネスにはならない、ということ。

 引き続き紹介されたのはレイアウトテスト。これは例えば3つのオファーを大中小ブロックに分けて強弱をつけて表示するとき、どのオファーを大きなブロックに入れると利用者に響く=CVにつながるのかをテストするもの。

 さらにクリエィティブテストの正しい活用法として、まず同一クリエイティブを用いてオファーの文言を変えてテストしてみることを推奨。これによって、どのオファーが一番顧客に対しての訴求力を持つのかを把握し、その最も訴求力のあるオファーを異なるクリエイティブでテストして反応を調べることでさらにCVR向上を狙うのがうまいやり方、とのこと。

 最後におまけとしてWeb業界にまつわる都市伝説の紹介。「Aという手法をやると必ず成果が出る」、これは間違い。必ず成果を出す施策は存在しない。だからこそテストの有効性に注目すべき。「ランディングページには必ず一つの情報だけを置いたほうがよい」、これも間違い。同じキーワードで誘導された顧客でもニーズは異なり、自分達が想定していないサービスに対してベネフィットを感じるというケースは少なくないとのこと。例えば、領収書の発行、のような一見地味に思える施策が顧客にとって選択すべき理由になるケースもある。「地域によってユーザの行動傾向に違いが出る」、これは実際に出るらしい。特に、北と南の環境の違いなどで、季節性の高い商材、例えば鍋料理などは東北・北海道と九州・沖縄では当然反応に違いが出る。そして最後に@KyoheiPJさん、渾身の問いかけ。「テストなんて所詮小手先」、ちがう! いくら戦略が正しくとも、その正しい戦略に基づくメッセージがユーザに届かなければ何の意味もない。だからこそ、ぼくたちはテストをしなければいけない。

 実際にしっかりとしたオファーをメインビジュアルに置いただけで大幅に売上を残したECサイトの事例なども出ており、今後成果を求めてWebサイトの改善を図る上では日々のテストをWebサイト運営に盛り込んでいく方向が正しいことを様々な角度からわかりやすく説明してくれた貴重な時間でした。

 そんなわけで滞りなく勉強会は終了。満場拍手。振り返るとほんとにすごい人数が集まってます。

懇親会にて
 というわけで勉強会に引き続きそのまま懇親会モード。というか、衰弱堂はほとんど懇親していなかったわけですが。そもそもが、こういうパーティなるものがどうも苦手なのに加えて、名前が衰弱堂ですよ? でも見かけは大して衰弱してないんで不当表示扱いされかねない諸刃の剣なんですよ。

 それでも@ouchicomさん、@junk_oqloさん、@makitaniさんの衛星軌道から静かに降下するコバンザメのごとき動きで何人かの方とお話しておりました。

 でまあ、記念だしと@ankさんを撮影。顔出しOKと許可はもらったものの、暗すぎてノイジーかつ手ぶれしてました。

ankwa01_3

 すぐそばにいらした@KyoheiPJさんにも名刺をいただき少しお話させていただく機会を得られ満足。ECナビの方からもお名刺をいただいたのですがTwitterアカウントは聞けずじまい。

 さらに@junk_oqloさんが@risa_ozakiさんと話しているところに顔を出して話を聞いていたら、急遽@ankさんが連載記事を執筆中の「Web Site Expert」(技術評論社)最新号プレゼントをめぐってのあいこじゃんけん抽選タイムが始まり、衰弱が一撃で沈む中、@risa_ozakiさんがあれよあれよと勝ち残り中央へ、最後の一人に生き残り見事に賞品ゲット。その運にあやかりたい……。

 さらに奥の方で@makitaniさんが談話中のところを発見して接近。名刺交換して話をうかがうと@lednaoさんじゃありませんか。が、アカウント名を覚えているのになぜかフォローしていなかったという失態。WWWサーバログ型ツールについてなどあれこれ。

 結局AJITOでビール3本、アイスコーヒー1杯を飲み干し、@ouchicomさん、@makitaniさんと連れ立って会場をあとにしました。帰路そして電車内で果てしなく業界話が展開されたのですが色々差し支えがあるので割愛。

 あ、当日の"#ankwa01"タグ関連の発言を衰弱堂主観でまとめたものをTogetter(トゥギャッター) - まとめ「「私的勉強会解析しないと」衰弱堂セレクション」として公開しました。一部、主観的な時間の流れに合わせているためタイムライン通りに並んでいない部分がある点ご留意ください。
 
 そんなわけで、主催者の@ankさん、急遽登板の@KyoheiPJさん、ありがとうございました。

 そして今一度、今回のすばらしい会場を提供いただいた価格比較サイトECナビを運営される株式会社ECナビ様ならびに@zazieさん、@ucchieさん、最後まで楽しいひと時を過すことができました。ありがとうございました。

 もうぼくは、価格なんとかだのコネコなんとかなんて使いませんとも、ええ。

 ……ですから、宇佐美社長、2年前の無礼なエントリのことはどうか忘れていただけないものかと。苦笑。





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