かたちあるものを

item 】 2009 / 08 / 13
 さて、本日は衰弱堂の誕生日であります。

 なになに? 「おめでとう!」

 いやいや、ありがとう。その言葉、その気持ちはうれしい。でも、かたちのあるものをくれないか? 微笑。

 しかし、この人なんか話題があちこち飛ぶし、プレゼントしたいけれど何を送ったらいいのかさっぱりわからないわ、とお嘆きの紳士淑女諸君も多いはず。

 そこで、衰弱堂が今ほしい本やガジェットを一気にリストアップ! ここから選べばあなたの好感度は一気に急上昇! でも、衰弱堂のなかでの好感度があがっても全くメリットないじゃん。誰だ、そういう身も蓋もない正論をさらっと口にする奴は。涙目。

 一応、衰弱堂の栞のウィッシュリストなどを参考に、13日生まれということで13点ピックアップしてみたいと存じます。

 なお、この記事はやらせです。本当に購入して衰弱に送りつけてはいけません。同じものがいっぱい手元に積みあがってしまうじゃないですか! というかほとんど自分で買う。
 あ、1万円以上のものは換金価値がありそうなので大歓迎です。笑い。

 ……せめて誕生日プレゼントにAmazonのアソシエイト収入がほしいなあ、という下心をお汲み取りいただければ幸いです。笑い。



さて、それでは13位から順に。

13位 吉田秋生「海街diary 3」(小学館フラワーコミックス)
 えーっと、いきなりですがこの本まだ出てません。笑い。「海街diary 1 蝉時雨のやむ頃」「海街diary 2 真昼の月」ともに、そこに描かれる淡々とした日常の風景、その中に忍び込む大きな絶望が織り成す物語は結果的にとても穏やかで心安らぐ世界を構築していて、安心して読める作品。日本の私小説の伝統は、吉田秋生を通じて生き延びたといってもいいんじゃなかろうか。




 ちなみに次点に入れたのは古川日出男「聖家族」(集英社)

 古川日出男はその声価にも関わらずこれまでまったく手にとってこなかった。2年近く前の「ひたすら本を読んでいた」というエントリのコメントでkarasuさんが一押ししていて引っかかってはいたのだけれど、一時期とにかく小説から遠く離れて(いまAmazonで検索してみたら、同名の蓮實重彦の長編批評は絶版? あの1冊が当時の日本文学界に与えた影響は甚大で、例えば高橋源一郎などはこの一冊で死んだんじゃないかと推測している)いたぼくとしては手を出しづらかったわけです。

 ところが図書館で新着図書の棚に並んでいたので借りた「ボディ・アンド・ソウル」 (河出文庫)、これがことのほか面白くて嫉妬すら感じさせる1冊だった。虚構と現実が入り混じりながら、どことは知れぬ場所にドライヴされていく感覚。かつて文学青年だった頃、ぼくが書きたかったのはこんな小説だったんだ、たぶん。この「ボディ・アンド・ソウル」の中に、東北取材行に関するくだりが出てくる。おそらくその結実が「聖家族」なのだろう。

 刊行時期があいまいでなかなか見つけられず、ついつい買いそびれてしまった。日本が生んだ世界レベルのMMAファイター、青木真也のテクニックを詳細な分解写真入りで紹介する一冊。大晦日までには買っておきたい。



 ラカン派の精神分析学者にして稀有の批評家であるジジェクを最初に知ったのは確か浅田彰の対談集、「『歴史の終わり』を超えて」だったと思う。何冊か購入し目を通しているが、代表作とされているらしい、これを買っていなかった。要約不能で引用しにくく、それでいてリーダビリティがあって、かつ死角から的確に言葉を送り込んでくる。ジジェクのような人がこの世界にいることにぼくは感謝しつつ畏怖を覚えるんだ。



 日本初公開以来何度か繰り返し見ている。が、レンタルバックのVHSをヤフオクで安く購入したのだがテレビもビデオも壊れてしまったのだ。しかもこの作品、あまりにマイナーすぎてTSUTAYAにもない。

 ハイビジョン・リマスター版、とのことでサッシャ・ヴィエルニーの端正な映像がどこが変わりどこが変わらないのかを確かめてみたい、という気持ちで。ちなみにこの映画のマイケル・ナイマンによる音楽は後に「料理の鉄人」でも使われている。



 シュルレアリストにして社会学者、結果的に1920年以降のフランス思想界の重要な人物のハブになっているレリスの日記全2冊。以前、mixiの日記に書いた記憶があるが、近所の古書店に新刊特価本で2冊揃いで並んでいるのだけれど、どうしても気後れして買うことができない。ケレン味はないが流麗で、表現者として確固たる核を有するレリスのテキストは滋味に富む。いずれゆっくり読みたい。


 え、これ1995年の新版でもう絶版なの? マーケットプレイスでも高いなあ……。いつかどこかで見かけたら買おう。ちなみに日本のマクルーハン・ブームの立役者は竹村健一。これだけ手帳って、2008年まで発売されてたのか……。一度くらい「私なんかこれだけですよ、これだけ」と言ってみたかったな。笑い。

 絶版。それどころかこの本が本当に実在するのかどうかもよくわからない。見かけたことすらない。ネアルコ、リボーなど多くの名馬を輩出したイタリアを代表する名伯楽フェデリコ・テシオに迫る1冊。だと思う。笑い。

 Bluetoothオーディオレシーバー。すでにLogitecのLBT-AR100C2を所有しているのだが、こちらの方がノイズが少ないという声を散見する。



 プロジェクトマネジメント標準として知られるPMBOKの第4版ガイドブック。現在予約受付中。これは会社で買ってもらうか自分で買うか悩みどころ。第3版は会社で買ってもらいました。個人的にはフレームワークとしてのまとめ方はソフトシステムズ方法論まで援用する日本発のP2Mの方がよいと思うのですが、テクニカルな部分の突っ込みがPMBOKの方が行き届いているような。プロジェクトマネジメントに関わる人は両方手に入れた方がよいかと。




 昨日のエントリでも触れたのだけれど、T-01AにUSB経由でキーボード接続をすると、ローバッテリ状態でUSB給電を停止するとの警告が出る。その上、本体の充電口もこのmicroUSBジャックなのでどうにもお手上げ状態に。やはりBluetoothキーボードを買うべきなのかなあ、と思った次第。一部ロットにT-01Aが使えないものがあるようなので要注意。



 おお、ついに残すところあと3つか……。
 東京都現代美術館のチーフキュレーター、長谷川祐子氏が雑誌「Pen」でこの1冊にセレクトしていてこんな本があったのかと知った。ハラルド・ゼーマンは20世紀ヨーロッパ美術を主導したキュレーターの1人で、特に1969年のベルン、クンストハーレでの「態度が形になるとき("When Attitudes Become Form")」という展覧会はコンセプチュアル・アートを主流派に乗せる上で大きな役割を果たしている。久しぶりにLucy R. Lippardの"Six Years: The dematerialization of the art object from 1966 to 1972"という本を取り出してきて1969年のところを眺めてみた。3月22日から4月27日に渡って開催され、ジョゼフ・コスース、ソル・ルウィット、ロレンス・ウェイナー、ヨゼフ・ボイス、ハンス・ハーケ、ブルース・ナウマン、ダグラス・ヒューブラー、その他その他、重要な作家が勢ぞろい。展覧会のキャッチーなネーミングも含めて伝説的な展覧会の一つ。その後もドクメンタやヴェネツィア・ビエンナーレを組織するなど精力的に活動したゼーマンの1957年から2005年までのキュレーションワークをまとめたという一風変わった本。今ぼくが手元に置く必要性も必然性も全くないのだけれど、ある種の証拠物件として手元に置いておきたいという気になった。でも、その程度の理由で購える金額の本でもない。苦笑。



 ペリカンのスケルトンの万年筆。通称ペリスケ。元々は売り場でのデモンストレーション用に制作されたものが商品化されたと聞いている。今、M200のデモンストレータを使っていて、これがなかなかいい。インクの減りがわかりやすいのだ。書きやすさも秀逸。さらに上位のM800だともっと書き心地がいいのか? と気になっているけれど、これも値段が値段だけにおいそれとは手が出せません……。



1位 手書きの手紙
 え、そういう落ちですか? 芸風違いませんか?
 思えば10代から20代にかけては、ずいぶんと手紙を書き、もらっていたなあ。男女問わず。そこいらへんはあまり触れたくない。苦笑。
 ブラジルに留学したムラビンスキーはよくエアメールをくれて、当時ブラジルはインフレが激しくて、手紙が届くたびに切手の額がどんどん増えていたのを思い出す。カナダだったかにワーキングホリデーで出て行ったKさんからの手紙も楽しかった。

 気がつけば、ポストに届くのはごみくずにしかならないチラシと、公共料金の明細くらいだ。年賀状も数年もらっていない気がする。そもそも出していないし。メールアドレスは知っているけれど住所を知らない友人・知人のなんと多いことか。手紙を送ろうにもこれじゃ送れないよね。

 かたちあるものは、それだけで、価値がある。それぞれの価値が。



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この記事へのコメント
じゃあ、K-1とかDREAMのあった日に書いて
お互い投函するっていう、そういうやつを…
(BBちゃんさんにも送るので要二部。)


そして送ったのに、タイムラグに耐え切れず
ネットに頼ってしまうに500メセナ。
Posted by 蔵六 at 2009年08月14日 22:32
高い買い物控えて、値段見比べて一番安い奴で来ましたな……にやり。
Posted by 衰弱堂 at 2009年08月14日 23:40
えええ、一番なのにその答えですか!
誕生日に罠張ってるのですか!?
これ罠なんですかやっぱり!?

ひ、酷い…

古川日出男といえば、
そこまで評価高くないけど
「ベルカ吠えないのか?」で痺れました。

青木の本の誘惑を直線3Kで感じつつ
耐える今日。
Posted by 蔵六 at 2009年08月15日 05:30
これ、罠というか、そもそも衰弱堂の住所を知らない読者諸氏におかれましてはプレゼントしようにも送りようがないわけで。

どちらかといえば、わかりにくいぼくの関心やそこにいたるまでに潜ってきたものが、例えば

「衰弱堂の世界十大小説」
http://suijackdo.seesaa.net/article/61782831.html

あたりと合わせて読むことで理解できるのかな、と。ある種のセルフ・プレゼンテーションですね。微笑。


古川日出男「聖家族」は職場そばの新古書店で半額で見つけて迷って買わなかったんです。

それは「ベルカ、吠えないのか?」を読んでる途中で積んでるからなんですね。悪くないんだけれどいわれるほどいい感じもしないかな、この作品と。一点の疑問符はあるわけで。

しかし、そんなことを考えていると本は書店から消えてどんどん入手できなくなるので見て、フィーリングが合いそうなら買う、が基本なのかも。

数日後、新古書店の「聖家族」は棚から消えてました。
Posted by 衰弱堂 at 2009年08月15日 10:02
そうだったんですね・・・私、てっきり罠だと(笑)
「十大」もおもしろかったけれど、
そういえば書架もひそっと拝見してますよ。

本というか、特に小説系は出会うタイミングってあるとおもうんですよね。
「ベルカ〜」を読んだの多分自分が27か26才あたりで、
今読んだらどうかはわからない、と思うという。
高校の時にものすごくはまっていた
村上龍の「コインロッカーベイビーズ」だとか
「愛と幻想のファシズム」は今読んでもそこまでは感激しないだろうなぁと思うのです。

そして最近はというと、青木の総合格闘技入門が棚から消えず、
誘惑を感じつつも、遠くから見守る日々なのでした。
スーパーと本屋が併設してるっていうのがなんとも。
Posted by 蔵六 at 2009年08月16日 07:45
村上龍の「コインロッカーベイビーズ」は、読みながら何か変な洋モク(合法品)を吸っていたせいか、気持ち悪くなりながら、ぐいぐい読まされました。

「愛と幻想のファシズム」もだいぶ前に再読したくて見つからずに古書店で再度購入して読んだような。

mixiに書いたような気がしますが、森恒二の新作「自殺島」にシカ狩りのエピソードが出てきて、物語の背景が「希望の国のエクソダス」っぽいの含めて影響を受けているのかなあと思いました。

書架は最近結構抜けが多いです……。特にマンガ類。
Posted by 衰弱堂 at 2009年08月16日 09:50
コンビニでヤングアニマル立ち読みしようとしたら

紐がかかってた

し、鹿!鹿肉はどうなるの!?

おのれ 羽○野チカめ!
(でも結局ハチミツとクローバーは好き)

ついでに みちはる先生の仕事が
今度こそは乗ってるよなとヤンマガ見て思う
そんな朝五時でした。
Posted by 蔵六 at 2009年08月22日 13:12
あれ、鹿肉は先週発売号で……もごもご。
Posted by 衰弱堂 at 2009年08月22日 13:45
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