いまさら歓迎会

daily life 】 2008 / 07 / 31
水曜日、職場のM事業部のメンバーにより新入社員のWさんの歓迎会が催されることになり、呼ばれていたのをこれ幸いとほんとは別部署のくせに、さも当たり前のような顔で麻布十番での宴に参加。

えーっと、もうすでに2ヶ月だか一緒に同じ職場で働いているので実に新鮮味がないわけであります。笑い。でもそこはそれ親睦を深めようぞと。M社長が電話待ちでオフィスを動けず、フットサルのキャプテンKさんが出張で不在、幹事の最年少Yo嬢を筆頭に、福岡オフィスMさん、Oさん、H嬢、ぼく、そしてWさん。あべちゃん別館という焼きとんのお店はビルの2階でどことなく親しみやすい雰囲気。グラスを掲げて乾杯し、Mさん、「どう、そろそろ仕事には慣れた?」とお約束。出てきた牛煮込みがうまいうまい。でかい鍋で煮ております。各自のペースでビールだのコーラだの(Oさんは見かけ倒しでお酒が飲めません)。

Wさんはワイルドな見た目とは裏腹にやわらかい物腰で崩れたところがなく、気づけばすっかり輪に溶け込んでいて、ほんと歓迎会を出汁にした単なる飲み会です。というか飲むのもそこそこでものすごい勢いで焼きとん食ってます。うまいうまい。

世田谷でセールスイベントをハンドルしているYa嬢が遅れて到着。ややお疲れ。話を聞く限りではYo嬢も含め先方からも信頼されているようだし感触は相当よさそう。がんばれ、というくらいしかできないのだけれど。がんばって。その後も焼きとんがくるくる。手羽先もくる。M社長はこない。でも、うまいうまい。

で、Wさんの話など聞くと、ご両親はすでにリタイアして息子に自宅を託して山暮らし。冬は寒いので帰ってくるという約束もどこへやら、すっかり自然に還ってしまったそうで、有機農法でうまいもの作りまくって周辺50戸ほどといっしょに産直の販売所までたちあげてしまったらしい。50羽だか飼っている烏骨鶏の卵は評判であるだけ全部よこせとお客様殺到中とか。たまごかけご飯にしたらうまそうだな……。遊びに来てくださいというWさんに、子供に自然を体験させたいなとMさん乗り気。社員旅行は農業体験、の意見出る。水も湧き水でおいしいとか。

ケータイの写真で見せてもらった山の家はなんだかゴージャス。吹き抜けに薪ストーブだか暖炉だか。風光明媚な土地で、自らの土地でつくった作物を食べて生きる、日本人なら誰でも一度は憧れる生活をご両親は満喫されているようです。でも草刈りとか大変だよなあ。烏骨鶏の卵だけ食って生きていきたいなあ。なんだそりゃ。

店の隅の高い場所に置かれたテレビはどうやらボクシングを放送している。ちょうど内藤の試合が始まる直前か。時々振り返ってみていたがどうも若いチャレンジャーが内藤の距離をうまくいなして手数をあてている印象。むしろ内藤がやろうとしていたゲームをやられている感じ。

お疲れのYa嬢が早めに席を立ち、M社長は電話口で「一次会は無理」とのたまったあたりかMさんがあっと叫ぶ。内藤が打ち合いを制してきついのを叩き込んで10RKO勝ち。倒す前の展開を見ていなかったのでOさんとスローはまだかなと見ているが一向にハイライトは流れない。どういう構成だよ、これ、といぶかしんでいるところに亀田兄が闖入。あーあ。失笑を禁じず、それを過ぎればただただ鬱陶しい。TBS(飲み会の場では日テレかなといっていたがあとで調べたらTBSだった)のいじり方はもう本当にありえない。相当感性が鈍い。ナチュラルに視聴者の感情を逆撫でさせたらTBSにかなうところはそんなにないぞ

そんなこんなで解散となり、翌日は7時にホテルを出て長崎に向かわなければならないMさんがホテルに帰還。明日のフットサルはキャプテンも出張で不在だなといっていたら、「高輪の小野伸二」ことエースのWさんも「明日は浦和とバイエルン・ミュンヘンの試合を見に行く」と欠席宣言。練習はあるのだろうか。そんな不安もどこ吹く風、H嬢はひょうひょうと「デザート食べたーい」とスイーツ(笑)ぶりを発揮。明日は代休と絶好のポジションからYo嬢の「もう1軒!」コールですよ。男集3人(うち一人は主賓)なんざ無力なものです。で、麻布十番でスイーツを食おうにも取引先のサロンくらいしかしらない悲しい若者たち(その他に中年2人を含む)は平日夜の麻布十番を右往左往してようやくLOLITA CAFEとやらに。

店に入るや否やもう、ここにきて主役がいきなり降板ですよ。Wさんでも、奥に座っていた見苦しいカップルでもなく、いまや中心は明日の休みを頼りに片道特攻とばかりにアルコール飲料を満載するYo嬢なんですよ、これが。誰がどう見ても過積載なんですけど。

気合一閃、デカンタで頼んだ白ワインを呷るように飲み、Oさんにロックオンして集中砲火。「でもなー、Oさんは割りとM社長のいいなりだからなー。」、Oさん「いやそんなことはないよ?」

まあこのあたりまでは、泥沼トークの食前酒みたいなもん? ここ数ヶ月、自分の意向にかかわりなくつくことを余儀なくされた仕事にとまどい、惧れ、嫌気を感じ、それでも少しずつ面白いことを見つけてきたYo嬢がつたない言葉を真剣に編むのを聞く。ぼくが自分の無力さを感じるのは大概こういうときだ。

現場で日々の仕事と格闘するものにとって、視線を外化させることは思いのほか難しい。ぼーっとして間抜け面をさらしながらぼくはM嬢と共有しうる語群を探っている。だけれど、そんな気の利いたもの、ぼくの中にあるはずもない。ぼくが発話として外化させない言葉はいつもいびつなチェーンのように絡まりあい、ぼくはそのひとつを理解できるものとして現前させようとするといつもひどく苦労させられる。あいまいで、時に抽象的で時に先鋭的なぼくのロジックは結局ひとつの場所、ひとつの思い、ひとりの女性にとってのソリューションとしては機能しないことは明らかだ。このとき必要なのはラベルなんだ。何が入っているかよくわからない瓶詰めではないんだ。そしてぼくは、何かもごもごと、口にして、黙り込む。

コンサルティングの経験からすれば、最初はもう問題の枠組みが明らかになるまで聞き続けるしかない。しかし与えられる時間は短く、いまここにいて酒の力を借りて満たされない思いを語るYo嬢は、おそらくひとつのロジックと別のロジックとの連環をつかみ損ねて、言葉の海に沈んでいくだけにちがいない。

以下、Yo嬢への言葉として仮託しつつ自分へ。

相手が不幸になるんじゃないか、という惧れを抱くことは、誠実さの証なのだから、ずっと大事に抱えていって欲しい。そして多くの場合、自分自身の無能力がそうした不幸な結末の原因足りうるということも。
ぼく自身もまた、いくつかのバッドエンドに、自分の無能さという細い水路が注ぎ込んできたということを否定できない。たぶんプロフェッショナルとして生きたいと思ったのはそんないくつかのバッドエンドを目の前にしたときだったんだと思う。

相手が不幸になるんじゃないか、という想像力はプロフェッショナルが必ず持ち合わせなければならないものだ。そして、プロは流れを変えるために知恵と力を用いる。知恵か力を持ち合わせないプロはある意味で喜劇的だ。わかっている不幸な結末をよりよいものに変えることは、結局のところ可能であるにもかかわらず、そこから出ようとしないならば、悲しいくらいの喜劇がうまれるのが関の山だ。ぼくたちはこんなときのために、自分たちの言葉を用意している。コミットメント、がそれだ。コミットメントとは、単に強い思いを抱くことではない。我がこととして目の前の、周りの人たちの課題を引き受け、よい結果を出そうとすること。ひとりひとりのお客さんに、最良の結果は存在する。だからぼくたちは正しい道のりを笑顔であるいていかなくちゃいけないんだね。そして、道を間違えていると思うのなら、正しい道を自力で探し出すための知性と力が必要なんだ。

初めての仕事に取り組んで、大きなストレスを抱え、ここにきてやっと次のステージが見えてきておびえているYo嬢は若さに満ちていた。彼ら、彼女らの問題解決を支えるために何ができるだろうと思うと実に暗澹たるものがある。世の中には仲間のためになる以上に重い仕事なんてそうありはしないんだ。

あと30分で帰ろうか、といいつつさらにデカンタを注文するYo嬢はもう、突き抜けてしまって、なんだか感情のこもった袋のような生き物になっています。デインジャー! デインジャー! そこにゆるりとM社長登場。運がいいやら悪いやら。Yo嬢はワイングラスをひっくり返し、終電がなくなりそうなWさんはといえば、あと2回残しているというYo嬢の変身(フリーザかよ)を見ずに寂しく帰宅。何度も何度も「ぇーっ」と叫びつつ飄々とお茶を飲むH嬢。槍玉にあげられ前後左右ふさがれたOさんが身をよじるように見えない紐をつかんで上へ上へと逃げる。M社長はパスタを食ってご満悦の様子。

かくして伝説の彼岸までたどり着いたと思しきYo嬢を自転車で帰宅するH嬢とM社長に託して、Oさんと麻布十番駅へ。いやはや、職場の女性陣はみな元気です。現在この明るく楽しく熱い職場は新メンバー募集中。これをお読みの方、機会があったら一緒に働きましょうね。微笑。


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この記事へのコメント
あの〜Oさんは、もうちょっといいこと言っていませんでしたか??(自爆
Posted by Oさん代理 at 2008年08月01日 15:21
んー、ぶっちゃけOさんは大したこと言ってなかったかな。笑い。
Posted by 衰弱堂 at 2008年08月02日 23:39
新メンバー募集?どうしよっかなー。パートタイムでも雇ってもらえるかなー
Posted by WCDを去ったM at 2008年08月06日 01:48
このblog読んで改めて思いましたが、これだけの長文blogを読んでしまうのはリアル知人だからだけではなく衰弱堂殿の文才はやはり何かあります。
現代の日記なのに、古本屋で見つけた昭和30年頃の
随筆のような錯覚を覚える文調がとても自分ごのみです。
Posted by 福井で働くプログラマー at 2008年08月06日 01:52
昭和30年頃、というのはあながち的外れでもなくて、たとえば初期の大江健三郎がこのあたりに入ると思うのだけれど、割と潜ってはいるんですよね。調べてみると処女作の「奇妙な仕事」が1957年みたいなんで。

ちょっと面白くなってきたのでエントリーにまとめてみるか……。
Posted by 衰弱堂 at 2008年08月06日 23:18
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