歩くことについて語るときにぼくの語らないこと

daily life 】 2008 / 07 / 07
少なくとも
最初から
走らなかった。


と、最初からもうものすごい勢いで村上春樹「走ることについて語るときに僕の語ること」(文藝春秋)をパクりまくってみるが、今日ようやく手に取ってページをめくりはじめたばかりで読み終えていない。けれど、これは悪くない一冊かもしれない。少なくとも今のぼくにとってはだけれど。



「衰弱しても一人」、というエントリーを書いてから、1ヶ月あまりが過ぎ、結局ぼくは歩くことをやめていない。途中経過というにはあまりにも中途半端な時期だけれど、ぼくにとって、書き留めておくことはおそらく何らかの意味があるだろうとは思う。ここまでの試行錯誤をざっとまとめておこう。

あのエントリーを書いていた時点で3kgほど減っていた体重はさらに10kg減った。記録している一番重かったときの体重から2ヶ月で13kg減ということになる。

この数字だけを見ると悪くはないのだが、残念なことに1年前の体重に戻ったというだけのことなのだ。そして、体脂肪率はほとんど改善されていない。そのあたりのことを思うときの感情はいささか浅ましく、我ながら居心地が悪い。早く先に進みたい、という焦燥のようなものがなくはない。それでも、ゆっくりと、歩くしかないのだろう。

何かフィジカルな取り組みをするとき、ぼくは必ず書物から入っていくようだ。そしてそれは報われたためしはない。でなければこんなに動けない身体になるはずがないではないか。知恵を血肉に変える何かが決定的に欠如している、ぼくはどこかでそんな風に思っていた。

しかし、これは違っていたようだ。世の中には、血肉を変える知恵を持ち、それを明晰に語りうる人が少なく、さらにそれを自分のものにすることは難しい、ということなんじゃないだろうか。

そんな中で、ぼくは、フィリップ・マフェトンは数少ない例外だと思っている。

マフェトン理論を実践するトライアスリート、藤原裕司の「脂肪を燃やすトレーニング―体験的マフェトン理論」(宝島社新書)を読み、さらに興味を持って フィリップ・マフェトン「『マフェトン理論』で強くなる!―革命的エアロビックトレーニング」(中塚祐文監訳、ランナーズ)を読み、マフェトンとも親交を持つ中塚祐文氏の中塚カイロプラクティック研究所の自費出版によるフィリップ・マフェトン「実践的マフェトン理論」も購入した。いずれも一般書店では手に入れにくいが、1冊選ぶならば「『マフェトン理論』で強くなる!」をAmazonマーケットプレイスで手に入れることを薦める。

おそらく単にダイエットをするならばもっと効率的な方法はあるのだろう。しかし、身体の使い方に習熟していないぼくにとって、マフェトン理論以上に明快な切り口は今のところない。ダイエットよりも幅広いフィジカルコンディショニングにおいて、戦略と戦術を持ち合わせるものがあるならば教えてほしい。

マフェトンの戦略、それは、「身体のエアロビックシステムを向上させることで最小限の犠牲により最大の成果を得ること」だ。重力下で動き続けるものは必ずエネルギーを必要とする。人間の身体は大きく分けて速筋の糖産生によるエネルギー(アネロビック系)と遅筋による脂質産生のエネルギー(エアロビック系)が使われている。前者は取り出しやすく瞬発系の動きに使われるがわずかな量しか保持できない。後者は取り出しにくく持久系の動きに使われ、身体に多く蓄えられており重量あたりのエネルギーも大きい。安静時にはおよそ半々の割合でこれらのエネルギーが使われ、負荷が強まると次第に糖産生系のエネルギー消費が増える。

使いにくいが身体内に十分に蓄えられ、より多くのエネルギーを得ることができる脂質産生のエネルギーを十分に引き出す、そのために心肺機能と全身の血流からなるエアロビックシステムを向上させることを最優先するのがマフェトンの戦略だ。

この戦略に基づいてマフェトンは以下のような戦術を組み立てている。
(1) 最大エアロビック心拍数を<180−年齢±補正値>の公式から算出し、ハートレートモニタを活用して心拍数を<最大エアロビック心拍数−10>の範囲に固定してトレーニングを行う。
(2) 身体にかかる負担を最小限に抑えるためトレーニングは12〜15分程度の時間をかけてゆっくりと心拍数をターゲットゾーンまで上げ(ウォーミングアップ)、同程度の時間をかけて<安静時の心拍数+10>あたりまで落とす(クーリングダウン)。トレーニング時間が30分しか取れない場合、ウォーミングアップとクーリングダウンのみを行う。
(3) トレーニングの進展や体調をつかむために1ヶ月に1回程度の頻度で実施時間やコースなどの環境を合わせ、最大エアロビック心拍数下で決まった距離(1500m程度)を走破する時間を計測するMAFテスト(Maximum Aerobic Function Test)を行う。
(4) 糖産生系のエネルギー消費に偏りがちな体質を改善するために三大栄養素の摂取について<炭水化物40:たんぱく質30:脂質30>の割合にする。
このほかにもいろいろと細かなテクニックがあるが、およそこの4つでほぼマフェトンの戦術は言い尽くされている。トレーニングにおいて一般的になっている筋トレもストレッチもマフェトンは否定的にとらえている。

これはぼくにとって圧倒的にわかりやすく説得力があった。(1)、(2)はすぐに取り入れ毎日わずかずつだが続けている。(3)のMAFテストは一度も行っていない。体重と体脂肪だけをKzokuというWebサービスを使ってモニタリングしており、ある程度体重が動かなくなったら実施するかなという感じ。

難しいのは(4)の食生活。普通に食事をしていると圧倒的に炭水化物の摂取量が多くなる。コントロールするためには自炊は不可欠。食事を入力するとカロリーや摂取栄養素の量を計算してくれる「あすけん」というサービスを試用して2週間ほど入力してみたが、かなり積極的にたんぱく質を摂取してもマフェトンのいう割合にはならなかった。特に難しいのは脂質の摂取。エクストラバージンオリーブオイルやキャノーラ油などに含まれる不飽和脂肪酸を摂らなければならない。これはもうあきらめて魚油を飲み始めた。

朝と深夜の食事をしばらく続けていたが、食事の直後のトレーニングは避けなければならず、夜帰宅後にウォーキングやエアロバイクによるエアロビック運動を行った後となると睡眠時間を削らねばならず良質な眠りの妨げにもなる。食事の内容やトレーニングの感じなど片っ端からKzokuのメモに入れていると、睡眠時間4時間が3日続くと完全に体調が崩れることがわかった。これまたあきらめてウェイトダウンプロテインを飲んで寝ることにし、朝食をしっかり摂るようにした。

卵、焼き魚、肉、豆腐などを朝から摂る。煮干や黒豆、オリーブオイルとりんご酢で作り置きしているマリネなどを付け合せ、少な目のご飯にはごまを乗せる。インスタントの味噌汁は乾燥わかめを食べるために作る。これで体質が改善しなきゃもう死ぬだろ。苦笑。

お菓子は糖産生系のエネルギー消費を強化するためすっぱりやめて、それでも未練がましく蒟蒻畑Lightを1個とか2個とか食べている。昼食は外食でクオリティを保つのが難しいので、適当にSOYJOYやチーカマを摂る。職場近くにサイゼリアができたので、食欲旺盛なときは小エビのカクテルサラダ(オリーブオイルドレッシング)とチキンを食べる。

マフェトンはカフェインを摂るなとも言っているのだが、これはどうもやめられそうにない。朝と夜、ワンダゼロマックスを飲み、400ml缶のブラックコーヒーと500mlのペプシネックスを日々消費している。

体重は1年前と変わらないが、中身はだいぶ変わっているような感じはある。職場で隔週でフットサルをやっており、そもそもがここで動けるようになるのが出発点だったはずなのだが、マフェトンいわくエアロビックベースを作っているときにアネロビックを行うのは積み木崩しなのでおやめなさい、という。そんなこといわれても、まあやめられないですな。それがぼくには楽しかったから。おまえはリーナス・トーバルズか。

フットサルの2度目の練習のとき、試しにVAAMを飲んでみたところ体感では持久力が上がったので、この練習前や週末に長めのウォーキングを組むときに飲んでいる。先週の練習が3回目。みなが早々にパス練習など始めるのを横目に、ピッチを縦に使ってウォーキングを15分。初回は5分ピッチに立てばもう使い物にならなかったが、それなりにポジショニングをしつつ合計10分ほどは動けたのでエアロビックベースは向上しているのだろう。単純に10kg斤量が減った効果じゃねぇの? といわれれば否定はできないが。

毎日歩いていると、足首だったり膝だったりに筋肉痛を感じることも出てきた。最大エアロビック心拍数は固定されており、歩けば歩くだけエアロビックベースは鍛えられ、ペースはあがる。苦しいようなそうでもないような微妙な感覚。週末は億劫で、今日も行くのかと思いながら逡巡し、結局夜歩く。

身体と対話しつつ、落ちているときはウォーミングアップ15分+5分+15分で切り上げ、よさそうならできるだけ平坦な道を選んで闇雲に歩き出し、降りたこともない駅を視界に入れ、来た道を戻る。ときにぼんやりと考え事をしているとペースが落ち、心拍数がターゲットをはずれる。ほとんどは、ただ歩いているだけだ。

おおよそ、こんな感じで、ぼくはまだ歩いている。

書き上げてみて、思うところがなくはない。そしてたぶん、歩くことについて語るときにぼくが語らないことの中に、ぼくにとって重要なことがあるのだろう。それは、どれだけの言葉を費やそうとも、だ。

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この記事へのコメント
玄米がいいぞ!
満足感が高い。白米なんて食えるか!
とか思う。(半分ほんと)。
圧力炊飯釜がいるけど。
Posted by ムラダス at 2008年07月07日 22:10
白米よりも玄米や五穀米、小麦粉よりライ麦だの全粒粉だのがいいというのは藤原裕司の本でも言及されてました。低インシュリンダイエットで見かけるグライセミックインデックス(GI)が低いものの方がよいと。

マフェトンが一般的にバランスが取れているとされる食生活からさらに炭水化物の比率を削っているのは、

・炭水化物を摂取すると血糖値が上がる
・血糖値が上がるとインシュリンが分泌される
・インシュリンの脂肪を蓄積しようとする働きが脂質産生系のエネルギー消費の妨げとなりエアロビックベースの発達を阻害する

というロジックらしいです。

それゆえマフェトンは持久系のアスリートのカーボローディング(競技前にパスタなどの炭水化物を積極的に摂るやつ)も否定していたりします。

でまあ、白米にせよ玄米にせよ、いずれ炭水化物なのでそれほど量を摂らないようになってきていて、あまり手間をかけたくないので無洗米でいいか、と。

1人で2合炊くと食べきるのに5日くらい持つので(最後はだいぶ干からびるけど)楽なんですよ。

一時は本気でカロリーとバランス考えて献立を組んでいたら、結構品数が必要になって、うんざりするぐらいの量で1800kcalとかになりました。

そのせいか、食べることにちょっと義務感を感じることもある今日この頃とか。
Posted by 衰弱堂 at 2008年07月08日 00:05
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